衝撃波を患部に照射する整形外科では新しい治療法です。ヨーロッパを中心に普及し、足底腱膜炎や腱付着部炎などの多くの疼痛性疾患の除痛を目的とした治療に応用されています。欧米ではスポーツ選手を中心に、低侵襲で安全かつ有効な治療法として使用されています。
日本国内では難治性足底腱膜炎に対し、保険が適用されています。国際衝撃波治療学会(ISMST)では、下記の疾患が対象とされています。
[足部]足底腱膜炎・アキレス腱炎・アキレス腱付着部炎
[膝]膝蓋腱炎
[肘]上腕骨外側上顆炎・内側上顆炎
[肩]石灰沈着性腱板炎・腱板炎
[骨折]偽関節・疲労骨折
[その他]早期の離断性骨軟骨炎・早期の骨壊死
■1回の治療時間は約10~15分です。
一定期間をおき、複数回の照射を行います。
■麻酔などは不要です。
■傷跡は残りません。
■治療後には治療前と同様にすぐに歩行が可能です。
1.セッティング(照射部位により体位が異なります。)
2.圧痛点、または超音波エコーで照射部位を特定します。
3.低レベルの照射から開始し、反応を見ながら徐々に出力を上げます。
4.目的とするショット数に達したら終了します。
5.複数回の場合は一定期間の治療間隔を空けます。
当院に導入している装置は、「体衝撃波疼痛治療装置」として、平成27年2月6日に厚生労働省の薬事承認を取得しています。
平成27年4月には保険適用されています。
衝撃波とは高出力の音波です。医療の領域では、衝撃波は1980年代から腎結石を破砕する際に使用されました。現代の疼痛治療においては、結石破砕装置の約10分の1の出力が使用されています。衝撃波は痛みの部位に照射され、そこに治療効果を生じさせます。
治療中は痛みを伴います。我慢できる範囲で出力を上げていきます。低レベルでの照射に耐えられない方は、途中で治療を中断する場合があります。
一般的に2〜3回の繰り返し治療で治療効果が確認されています。
体外衝撃波による治療は、完全なる除痛を保証するものではありません。また患者様により治療効果や治癒期間が異なります。平均的治療効果は、60%〜80%と報告されています。
以下の有害事象が考えられます。
■腫脹、発赤、血腫
■点状出血
■疼痛
■コルチゾン治療を受けた部位での皮膚損傷
米国の治験データでは有害事象に関しては、治療時の痛み・不快感、治療後の痛み、腫脹など既知の有害作用が観察されたのみで、皮膚発赤、照射皮膚面の痣形成、血腫、点状出血、瘢痕形成などの重篤な副作用はありませんでした。
超音波は出力を強くすると、熱を発生する為、出力を強くすることができません。体外衝撃波はほとんど熱を発生しない為、出力を強くすることが可能です。また、超音波は深部に及ぶにつれて減衰しますが、衝撃波は減衰しない為、深部に照射することが可能です。